初めての課長となってわかる悩み事は部下育成だと思います。
係長の時は、年上の部下というのはいなかったのが、年上の部下から年下の部下まで更に先輩上司とちがい
マネージメントもしなければいけない。
どうやって部下を育成したらよいかわからない。
特に最近の部下は育った環境も違い、
昔ながらの俺の背中をみて覚えろ的な事では、全く部下は育ちません。
これを読んでわかることは
・部下育成で心がける事
・部下育成の必要な4つのスキル
・育成できない人の悩み
・最後に伝えたい事
部下育成で心がける事
・部下と信頼関係を構築する
どんなに良いことを言っても、部下は全く聴く耳を持たないと思う時ないですか?
理由は3つあると思います。
・上司も部下の事を知らない
・過去の経験から既に部下も仕事に型や考え方を持っている
・そもそも上司としての実力を認めていない
部下指導でまず最初に目指すゴールは
部下からの信頼を獲得する
これは現在日本水泳のヘッドコーチの平井伯昌コーチも
もっとも効果の上がる育成法はひとそれぞれあり難しいけど、指導する上で欠かせない共通のポイントは
選手から信頼を得る事だと言っています。平井コーチは北島康介選手、寺川綾さんなど数多くのメダリストを
育てた名コーチです。
・信頼関係を構築するには
私は二つあると思います。
1つは
コミュニケーションを密にとる。
具体的にはワンオンワンミーティングで定期的に部下と1対1で会話をすることです。
その利点は部下育成方法はひとりひとり違う、その為、部下が何に悩んで、何を考えているのかを
正しく、タイムリーに把握して、適切なタイミング、正しい言い方で声をかけることが可能となるからです。
ワンオンワンミーティングは、部下を観察して、ひたすら傾聴して部下に話してもらうことです。
これは先にあげた部下を知る、仕事のやり方、考え方がわかるようになります。
この積み重ねにより、ちょっとした変化に気付けるようになります。
私自身は必死に上司のやり方を盗み、マネしていきましたが、今の時代俺の背中を見て育ては通用しない。
また、死ぬ気で働けとか、努力すれば必ずできるとか、精神論も受け入れてもらえません。
それを言ったところで
『はあ~?』って顔をしています。特に女性には響かない(笑)
上司としては上から目線で自分の意見を押しつけがちです。
部下の異変に気づき、困っているときに『どうした?』と言葉をかけて、話を聞き、そのタイミングで指導することが最も効果的だと感じています。
その異変を知る手段としてこのワンオンワンミーティング(1on1ミーティング)が大事となります。
詳しく1on1ミーティングについて知りたい方はこちらをお読みください。
2つ目は
部下と一緒に成功体験・成長体験を積み重ねる
上司ととして何人も部下育成してきましたが、信頼関係が気付けたと感じる瞬間があります。
それは部下と一緒に経験を通じたアウトプットを得た後です。
営業職でよく新規ビジネス獲得のためにコンペに参加して、共に苦労した末にビジネスを獲得した
経験を共有すると
部下の上司である私への対応がガラッと変わります。
過去同じ事を言って、響いていなかった事が、
何でも言う事を聞き入れてくれるようになります。
ですから、上からあれやれ、これやれではなくて、
部下と同じ目線で、ともに汗をかき、苦労した手に入れた成功体験が、部下自身の成長体験ともなることを
常に心がけることが大事だと思います。
部下育成の必要な4つのスキル
信頼関係を構築した後、上司にはどのようなスキルが必要となるでしょうか?
部下の育成方法は部下ひとりひとり異なりますが、必要なスキルは4つあります。
1.ティーチングスキル(指導する力)
2.スピーキングスキル(伝える力)
3.コーチング(質問する力)
4.教わる力
何も理解していないと
指導というよりは
・ただ答えを教えてあげる、
もしくは
・『大変だと思うけど頑張ればできる』とかで終わっている時ってないですか?
これでは
部下の悩み事は何も解決されていません。
その為に3つのスキルを意識しましょう。
・ティーチング(指導する力)
これは上司は部下の知らない知識を教えてあげる、部下がきづいていないポイント(本人がみえていないもの)を教えてあげる。
ティーチングに重要な時は、若手社員や仕事の成果がでていない部下に対してが有効です。
上司は若手社員に対しては圧倒的に部下で知識が上回っています。その部下の純粋に知りたいという欲求に
ストレートに応えてあげることです。
もう一つ重要なことがあります。
仕事をする上で必要な考え方や基本動作などは徹底的に教え込む。
一方で、何をやってもうまくいかない時もあります。そんな時は完全に部下が視点が狭くなっている時や
もしくは仕事環境や私生活の環境、体調がすぐれていない時があります。
仕事面であれば本人が見えていない点を教えてあげる事です。
私がその時注意しているのは
部下の気づいていない所を褒めるのとセットで改善点を指摘することです。
周りのみんなが言っている所を褒めるのではなく、上司としてよく見ているからこそわかる事を具体的に褒めるのです。その後、改善点を指摘すると素直に聞いてくれると思います。
スピーキングスキル(伝える力)
会社で仕事していると
怖い上司に何故かA君は怒られないけど、同じ事を言っているB君は怒られない。
C課長の良いことは腹落ちするけど、D課長はちょっとよくわかりません。
この違いは伝える力に他なりません。
1on1ミーティングで部下の悩んでいる事に察知するタイミングも重要ですが、
どうやって伝えるかも重要です。
もちろん、信頼関係を築いていれば正直伝え方は不器用な言い方でも通じると思っています。
しかし、この目まぐるしく異動が激しい職場でじっくりと信頼関係を築く時間も少ないのも事実ですし、
ZoomやTeamsなどのオンラインミーティングやビジネスチャットなどが主流となっている今
伝え方はますます重要になってきています。
ではどうすれば伝わる言葉となるでしょうか?
私は過去の偉人や現代の成功者の言葉、会社の尊敬する上司の気に入った言葉をよく手帳にメモしてそれを引用しています。
例えば頑張っていろいろ努力しているのに成果がでない部下に対して、
中日ドラゴンズの監督だった落合監督のコメント
『前向きにもがき苦しむ経験はすぐ結果に結びつかなくても必ず自分の生きる力になっていく』
どうですか?自分の心の中へ伝わってきませんか?
『本当によく頑張った。きっとその経験が将来生きてくるよ』という言い方よりはるかに伝わります。
この言葉や考え方良いなと思ったらどんどんメモして、マネして使ってみましょう。
・コーチング(質問する力)
コーチングは部下自らが考え、あるべき姿に気づき、その実現に向けて自ら行動できるようにサポートすることです。
部下育成というとこのコーチングが主となり語られるケースがありますが、私は信頼関係を築いた上でなければコーチングは不可能だと思っています。
初めて部下になった人にはまずティーチングの比重を高くして、その後徐々にコーチングの比重を高くしていくのが良いです。
つまり、部下の成長にあわせて比重を変えていくのです。新入社員にはあれやれこれとか、私の考えはこうだとか、ティーチングメインですが、徐々に自分で考えて更なる高みにいけるようにコーチングの比重を高くしていくということです。
コーチングする上で
重要な事は登りたい山を明確にすることです。
ここは部下登りたい山(目標)を一緒に明確にした上で、やり方は自分で色々考えてもらうようにサポートする。
例えば、A社に新製品を購入してもらうことが目標だとすると
それを実現するためんの現状分析をやってもらいます。
新製品の特長(悪い点、良い点)、購入する上で商品以外の自社の課題、競合の情報、A社の困り事解決になっているかとかいろいろありますよね。
それに対してこのゴールの到達する為に何をしなければならないのか。
それは誰がいつまでにやればよいのかを計画を立ててもらう。
あとはこの大きな目標に向かって、課題や計画に対して、実行していくうえで正しい結果がでているかを
小さなPDCAを早く回して修正していく。その過程を上司は部下へコーチングしていくのです。
この仮定で部下は成長している事を実感できるように導いていくことです。
必ず結果はうまくいくときばかりではないですが、それを振り返って次に生かす事も部下育成には大事な要素です。
私は
どんどん失敗すれば良いと思っています。
成功した時より失敗したの時の方が人間は強くなるし、成長するからです。
この過程がコーチングには重要です。
・教わる力
最後のスキルは教わる力です。
何も部下育成は上司から部下へティーチングやコーチングばかりではないです。
最近のプロジェクトは他分野に渡り、上司が必ずしも知識で優位に立ててている訳でもないです。
そんな時は包み隠さず、部下から教わる事です。
それにより部下が得意不得意分野をしっかり把握することが大事で、適材適所での役割分担に活用できます。
さらにこの部下も教える側に立ち、部下の成長という面でも有効です。
自ら足りない視点に気づいたり、理解を深めたりするからです。受験勉強と同じです。人に教えることで自分が理解できいてなかったことに気づいたり、記憶が定着した経験は誰でもあると思います。
部下の育成の一環として、どんどん部下から教わりましょう。
但し、優先順位的には最後です。いつも教えてもらってばかりでは信頼関係は築けないので注意して下さい。
育成できない人の悩み
ここでは指導する上での注意点です。
・やみくもにほめない
まずは明らかに違うという意見に同意したり、思ってもいない事をほめたりしない事です。
信頼関係=相手の気分をよくすることではないです。
上司は部下を評価して順位付けする必要が有ります。
常に褒めてばかりいて、評価が低かったとしたら、それこそ信頼関係が崩れていきます。
ですので、信頼関係を築くにはほめるのではなく、相手を認めることから始めることです。
ほめることと認めることを区別することです。
ほめるとは成果や行動に対してプラスの評価をすること。
認めるは決して否定したり、こうすべきだと判定する必要はないです。
無理に同意するのではなく、共感して、一旦受け止める。
『なるほど、あなたはそう考えているんだね。』『確かにそれも考えのひとつだね』
ほめるのはあくまでも何かやってくれたときに、助かったありがとうと
自分が勝手に感動したり、うれしかったことを言葉で伝えるだけよいとおもいます。
・情報収集のための質問をしない
コーチング時の質問は自分のためではなく、相手の成長や気づきを促す質問をすることです。
通常の業務と同じように上司が判断をする為に、自分の必要な情報をあれこれをどうしても聞いてしまったり、
やっていない事に対して原因を追究するような質問だと、
部下は信頼関係を築くどころか、思考が停止したり、相談する気もなくなってしまいます。
そうならないためにあくまでも主体は部下である相手であることを意識して下さい。
『何故できなかったのか?』ではなく、『どうなったらよかったと思う?うれしい?』とプレッシャーをかけずに寄り添っていく姿勢が大事です。
・成果をだした部下に対しては評価で報いる
私が部下時代思っていたことは、仕事ができる人が必ずしも育成上手ではないなということです。
がんばっているねとか声をかけられても、結局はボーナスの査定や昇格が遅れると正直
『あの発言は何だったのか?評価しないなら、良い事ばかりいうなよ』
と逆にモチベーションが下がったことを覚えています。
ですので、部下に対して成果をだした、大きく成長したと思った時は
全力でそれを評価で報いる事
を心がけています。正直、同じ部署内で甲乙つけがたい人がいて、1人しか昇格できない場面があったとしたら、絶対に負けないようにがんばります。
もちろん、駄目な時もありますが、私は全力を尽くします。
私自身が一番上司がうれしかったと思った事は後から隣の室に移った元上司が
人事評価の時に全力で応援してくれていたと他の方から聞いた時でした。
この人の為なら何でもやると誓ったものです。自分の為だけでなく、上司のために頑張る。それも部下からする
と成長のモチベーションに繋がると思います。
最後に伝えたい事
今回のテーマで一番つたえたいことは実はここです。
偉そうにいろいろお話してきましたが、部下育成は難しいです。
部下育成は答えがないですし、成長やその人の調子によって、同じ人でも同じやり方も変わってきます。
俺がこいつを一人前に育てるんだとプレッシャーをかける必要はないです。
昔と違って上司も部下に色々気を使わなければならず大変な時代です。
俺の背中をみて覚えろや、あとは全部お前かがやっておけでは通用しないですし、セクハラ、モラハラ、パワハラ、アルハラとか、不用意にプライベートも聞くこともできないすし、気軽に飲みにも誘えない時代です。
また、職場力評価なども定期的に会社では実施され、常に上司も評価される時代です。
愛情持って部下育成をしていますが、この評価が低いと本当にへこみます。
仕事も1on1ミーティングをやるように、部下には評価を正しく、納得できるように説明するようにと部下は至れり尽くせりです。
私も本当に昔の課長は楽だなと思います。
パワハラも受けたし、断れない飲み会など山のようにありました。
そんな色々な制約がある中で、今はしっかり部下とコミュニケーションをとり、納得する評価など100%できることなどありえないし、いくら丁寧に部下指導をしても、全員を育成することなど不可能だ。
気負わないで続ける事が秘訣だと思います。
でも、粘り強く育成を続けているとそんな中一人でも二人でも必ず信頼関係を築ける部下がでてきます。
本当にある時から、
『あれ、なんか私の事を信頼してくれている』と思える瞬間があります。
これは上司にとって何よりもうれしく、言葉では言い表せない感覚です。
私はこの瞬間のためだけに上司を頑張っています。
みなさんも気負わずにやりましょう。