お金

親の介護について、お金の視点で考えよう

40代から50代で直面する親の介護問題

40代から50代の方は親が60代後半から70代後半に差し掛かってくる頃だと思います。私の両親も80代手前で介護や相続対応について考えるようになってきました。そんなことから今回は介護について勉強していきたいと思います。

日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳とずばりは知らなくてもなんとなく80代とうのはご存知だと思います。実は意識しなければならないのは健康寿命の方です。健康寿命とは生活するのに制限のない期間のことを言います。この平均健康寿命が男性72.14歳、女性が74.77歳となっております(内閣府高齢社会白書参照)

でも、自分の親は元気だから安心と思っていてはいけません。介護が必要となった主な原因の第1位は認知症なんです。(ちなみに2位は脳卒中15.1%、3位は高齢による衰弱13.8%)

原則、親の介護費用は親の貯金で対応するのが普通ですが、みなさんは親のお金の資産状態をご存知でしょうか?認知症になると何も知らないと親に何も聞けないし、最悪預金を引き出せなくなる可能性もあります。

それでは取り急ぎ、親の介護費用が子が立て替える必要がでてきます。お金に余裕があればよいのですが、40代から50代世代は自分の子供の教育等もピークを迎え、家計は非常に厳しくなってきている事が多いと思います。私も丁度子供二人が高校、大学とお金が必要な時期に介護費用を立て替えるとなると厳しくなってきます。

今回は、なかなか実の親とは言え聞きにくいことではありますが、認知症になる前に抑えておくべき項目を確認していきましょう。

まず、親の資産状況について教えてもらおう

  • 親の資産状況・・・ざっくりとした資産ポートフォリオ(株、定期預金、銀行口座等)
  • その預金銀行が認知症対応している銀行かどうか?もし未対応であれば対応銀行に移してもらう。
  • 認知症対応をしている銀行でそのサービスに申し込み、代理人を決めておきましょう。

実は親が認知症になった場合は、今までは家族信託を事前に申請していなければ、預金の引き出しができなくなり、親名義の財産についてあらゆる手続きができなくなります。そうならないために事前に家族信託を進めましょうというのがベストな選択でしたが、

2021年2月18日全国銀行協会が、医療費など本人の利益が明らかな使途について親族が代わりに引き出せるとの考えを示した。これはビックニュースです。私は今まで家族信託を視野に考えていましたが、財産を子供に資産を移管するという行為そのものが親子関係とは抵抗のある親がいるのではないのでしょうか?

では、認知症になってから親の資産を使って介護費用を賄えないかというと決してそうではないです。その場合は成年後見制度を活用することになります。しかし、この成年後見制度は親の全ての財産は家族の手を離れ、家庭裁判所の管理下に置かれるのです。更に月々後見人になる人(弁護士や司法書士)に毎月2万円から6万円の支払いを親が亡くなるまで払い続けるのです。これから介護費用を色々使うのに大きな出費となります。

将来を見据えて家族信託と銀行の代理人引き出しサービスどちらが良いのでしょうか?

後見制度は後見人が管理するため、合理的な理由がなければ処分もできないし、積極的な運用もできない、生前贈与もできません。それが家族信託になれば便宜上の所有者として家族が管理できるのです。もし介護が長丁場になりそうな場合に備えて資産を運用することも可能なのです。

銀行の代理人引き出しサービスとは?

最近まで全国銀行協会がこの財産保護の観点から親族でも代理の引き出しに原則応じませんでした。しかし、人生100年時代を迎え、こういったどの家庭でも起こりえる認知症時の全国銀行協会は柔軟に対応していくと宣言しました。その後各銀行はどのような対応をしているのでしょうか?気になったので各銀行を調べてみることにしました。

この全国銀行協会の会長である三宅会長の所属先である三菱UFJ銀行頭取であることから、率先して対応すると思い、まず三菱UFJ銀行から調べました。

1.三菱UFJ銀行の場合

やっぱりありました『予約型代理人サービス』を2021年3月22日から始まっていると三菱UFJフィナンシャルグループでプレスリリースされています。

全体の流れは本人が認知、判断機能が低下し、金融取引ができなくなる場合に備え、将来本人に代わり、取引できる代理人を指定できるサービスとなっています。このサービスを指定した後でも本人が認知症にならない限り自分で資産を活用でき、認知症になった時に所定の診断書を提出後から代理人が取引が可能となります。

指定できる代理人は原則親族(配偶者or二親等以内の血族)となっています。できる取引の範囲は通常の預金引き出しから運用性商品の売却や解約できます。

このサービスの手数料は無料です。非常にポイントが大きい点です。通常家族信託の場合は託す財産の0.5%から2%となっており、介護費用をまかなうという点に特化した場合はこの予約型代理人サービスを活用した方がよいと感じます。

ただ、気になるのは三菱UFJのHPからインプットしてもでてこないです。実施していることは間違いないのに何か事情があるのでしょうか?ちなみに上記HP上で認知症て検索すると認知症保険等がでてくるのでそういった理由なのかもしれません。

2.三井住友銀行

特に認知証という言葉はないですが、検索すると『代理人指名手続き』がでてきます。こちらは手続きが記載されており親切です。

①通帳orキャッシュカード

②本人確認書類(運転免許証等)

③銀行届出印

出勤の際は代理人側も同様に必要となってきます。

この手続きを踏んでいないと本人の財産を守るという観点で本人以外の引き出しは原則できないとしており、預金者の意思が確認できなくなってしまった場合は、成年後見制度を活用して下さいと記載されております。

3.みずほ銀行

『みずほ銀行、代理人サービス』と検索すると代理カードのページがあります。

だだし、発行の条件が生計をともにする親族と記載があり、条件が絞られています。

申し込み本人が直接申し込む必要があり、必要な書類は

・みずほキャッシュカード暗証届(代理人用)

・通帳

・取引印鑑

・本人と代理人それぞれの本人確認書類(運転免許証等)

上記は2021年5月22時点の各行HP情報に基づく

大手3行も掲載はされているものの、大々的にサービスとして謳っているというよりはひっそりと掲載されている印象です。

まとめ

今回は親の介護から気をつけなければならないお金の費用について書きました。認知症になってしまうと自分のお金で一旦は立て替えるか成年後見制度を活用しなければならなくなってしまいます。親も自分の資産が第3者に月々管理費がとられていくのは本位ではないと思います。40代以降でご両親がご健在な方はぜひとも資産について相談してみてください。その際ポイントは2つ

1.資産のポートフォリオを確認する。またその資産がどこにあるのか銀行か、証券会社か等まで確認する。

2.資産にある銀行が代理人サービス(事前に所定の手続きをしておけば、認知症後に代理人が引き出しができるサービス)有無を確認して、それを申し込むことを両親に相談する。

3.別の方法として家族信託も検討してみる。

個人的にはまだ2については普及していないようですが、2をおすすめします。3は初期費用が発生しますが、2は無料です(一部キャッシュカード発行手数料が発生する銀行有り)。遺産相続でもめそうなほど資産がある場合は家族信託の方が細かく規定できるので良いと考えますが、介護費用をまかなうという視点でみると簡単で初期費用が安い、銀行の代理人サービスを親が認知症になる前に最低限相談してみることが良いと思います。私もぜひ親に相談しようと思います。